出典:http://fishing.shimano.co.jp/product/rod/5804
シマノの人気ショアジギロッドシリーズである、「コルトスナイパー」。
ついにSSグレードが登場します。
ちなみに、今までのコルトスナイパーのシリーズ構成は、上からグレードの高い順に並べると以下の通りでした。
コルトスナイパー エクスチューン
コルトスナイパー(オリジナル)
コルトスナイパー BB
このコルトスナイパーとコルトスナイパーBBの間にコルトスナイパーSSが加わります。
確かに、コルトスナイパーとコルトスナイパーBBでは価格帯的にも開きがありすぎて、いわゆるミドルクラスのポジションが空洞になっていました。
さぁ、コルトスナイパーSSはどのようなスペックをまとっているのか?オリジナルコルトスナイパーやコルトスナイパーBBと比べながら見ていこうと思います。
アイキャッチ画像出典:http://fishing.shimano.co.jp/product/rod/5804
概要
まずはシマノ公式の商品紹介を読んで雰囲気を掴みましょう。
注目ポイントを赤字にしていますので、時間をかけずにサッと斜め読みしてみてください。
大物に挑むアングラーへ
遠投性・操作性・パワー、すべてが高次元。
ショアジギング・ショアプラッギングゲームに特化、大物に挑むアングラーに提案するハイパフォーマンスシリーズ『コルトスナイパーSS』。上位機種で培ったロッドテクノロジーとノウハウを惜しみなく採用。軽くて強いブランクスを実現する基本構造、スパイラルX、ネジリ剛性を高める強化構造ハイパワーXを搭載。不快なブレやパワーロスが徹底的に抑制され、このゲームで重要視される遠投性・操作性・パワーが飛躍的に向上。防波堤・サーフ・磯場など幅広いシーンで活躍します。遠投攻略はもちろん、良型青物とのパワーファイトも得意。ブランクスはもちろんこと、セパレートグリップ搭載など部品の軽量化は疲労低減にも貢献。ラインナップは手軽なライトゲームから本格的な青物ゲームまでカバーする9アイテムを用意。
赤字をピックアップすると、以下の通り。
基本構造スパイラルX
強化構造ハイパワーX
セパレートグリップ搭載など部品の軽量化
次項で具体的にチェックしていこうと思います。
気になるポイントをチェック
他のコルトスナイパーシリーズと比較しながら、スペック的な違いを見ていこうと思います。
以後、略称を用いて、エクスチューン、オリジナル、SS、BBと表記します。
ブランクス構造(ハイパワーX・スパイラルX)
今回のSSにはハイパワーXとスパイラルXが搭載されていますが、他のシリーズはどうなっているのでしょうか?
参考までに、他の技術特性も含めて表にまとめると以下の通りです。
SS | BB | オリジナル | エクスチューン | |
---|---|---|---|---|
ハイパワーX | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
スパイラルX | 〇 | 〇 | ||
スパイラルXコア | 〇 | |||
ナノピッチ | 〇 | |||
スクリューロックジョイント | 〇 | |||
CI4⁺ | 〇 ※Mモデルのみ搭載 |
こうやって見ると、搭載されている技術特性の違いが一目瞭然ですね。
気になるのはSSの前後グレードである、BBとオリジナルとの比較です。
BBには強化構造のハイパワーXしか搭載されていませんが、SSはハイパワーXに加えてスパイラルXも搭載されていて、ブランクスの基本構造から違いがあります。※
(※ハイパワーXはブランクスの外層を斜めにクロス状に巻き上げていく強化構造。要は外層を補強しただけ…というイメージ。対してスパイラルXはブランクス自体の基本構造であり、縦繊維のシートの内層、外層を斜め方向で巻き、縦繊維を挟み込んだ3層構造。強化構造よりも基本構造の方がブランクスに大きな影響を与えるのは言わずもがな。)
シマノ発表のBBとSSのベンディングカーブの比較図が以下です。(イメージ図なので実際の曲がりとは異なることがあるようです)
出典:http://fishing.shimano.co.jp/product/rod/5804
ブランクス素材のグレードアップをベースに軽量設計が施されたSSシリーズ。BBシリーズと比較すると、パワー&強度が大幅にアップされ、高負荷時の安定したファイトを実現。キャストブレの低減による飛距離の向上、シャープな操作感に加え、疲労軽減も達成しています。
ブランクス素材がグレードアップして、かつスパイラルXも搭載されたことで、大きく性能アップしていることが予測されます。
BBに比べて軽く、張りがあり、ブレも少ないことで、飛距離、操作性、ファイトパワー、疲労感といった多くの面でメリットが生まれます。
続いてオリジナルとSSの比較は…と言うと、シマノからは特に発表がないので、取り急ぎブランクスの技術特性だけ見ると、ハイパワーXとスパイラルX搭載で同じなんですよね。
で、以下の表を見てください。
参考までにSS、BB、オリジナルの自重、適合ウェイト、価格をピックアップしています。(9.6フィートのMパワーモデル)
SS S96M | BB S906M | オリジナル S906M | |
---|---|---|---|
自重(g) | 225 | 232 | 247 |
適合MAXウェイト・ルアー/ジグ(g) | 45/60 | 40/60 | 40/60 |
価格(定価) | 27,600 | 21,300 | 35,800円 |
SSがBBより優れているのは当然なのですが、実はSSとオリジナルの比較でもSSの方が軽く、適合ウェイトも多少とは言えMAX値が高く、価格も大幅に安いんです。
代表番手として9.6フィートのMパワーのロッドで比較していますが、他の番手もおおむねSSの方が20g~30gほど軽く、価格は定価レベルでざっくり7,000円から8,000円ほど安くなっています。
これだけ見ていると、オリジナルとの比較においても、SSはかなり魅力的に感じられますよね。
ただ、こういったホームページ上に表記の技術特性や、軽さなどだけ見ていたのではロッドの本質的スペックは語れません。
ということで、例の如くシマノに直接質問してみましたよ!深堀りしながら教えてくれるところまでは頑張って聞き出してみました。
結果をまとめると以下の通り。
ちなみに、エクスチューンもオリジナル同様に重く、トルク溢れる設計になっています。
ラインナップ中最もライトなモデルが10フィートのMパワークラスですし、上を見ればXXHパワークラスまである点にも、その設計思想が見え隠れしています。
また、ナノピッチやスクリューロックジョイントといったさすがの技術も搭載されています。
ちなみにナノピッチとスクリューロックジョイントとは以下の技術です。
ナノピッチ
ブランクスを焼き上げる工程で使用する成形テープのラッピングを極めて細かいピッチで施す製法[ナノピッチ]を採用。ブランクスがより均一な圧力で締め上げられるため真円度が高くなり、高強度化に大きく貢献。
スクリューロックジョイント
継部の固定力を高めつつ、外しやすさも両立した特殊加工の継仕様。ロッドを継ぐ際にひねると、ネジのように締め込まれることで固定力が高まり、継目が抜けにくくなります。外す際は反対方向にひねると固定を容易に解除できます。(ソルトロッドに採用)
オリジナルはちょっと古いしな…と、SSとエクスチューンで悩む方も、明確に方向性が違うので選びやすいと思います。
手軽に近場でショアジギをしたいなら、軽さが魅力のSSでいいと思いますし、狙うのは10キロオーバーが当たり前!20キロクラスも狙いたい!という方はエクスチューン一択です。
セパレートグリップ搭載など部品の軽量化
SSは全モデルでセパレートグリップになっていて、BBはもちろん、オリジナルよりも軽いのは大きな特徴ではないかと思います。
ショアジギングというジャンルは、単純にロッドは軽ければ良いというものでもなく、パワー、トルクを必要十分に備えさせることが大前提になります。
その上で、操作性向上と疲労軽減の意味で軽量化も出来れば…という考え方であり、軽さは何が何でも最重要視されるわけではありません。
当然、リールとのバランスもあります。ショアジギは番手の大きな重量級リールを使いますからね。
とは言え、ずっと遠投、シャクりを繰り返すショアジギングにおいて、ロッドとのバランスが取れるのであれば…やはり軽さが魅力的であることは間違いありません。
パワーやトルクという意味では、ややオリジナルがSSを上回りますが、SSも必要十分なものを備えていますし、好みの世界なのかな?という気がします。
男性に比べると体力的にやや不利なこともある女性がショアジギングをするのにもいいかもしれませんね。
ラインナップ
SSのラインナップは分かりやすく、パワーがM、MH、Hの3段階あり、それぞれのパワー毎に9.6フィート、10フィート、10.6フィートがラインナップされています。
出典:http://fishing.shimano.co.jp/product/rod/5804
パワー毎に適合ルアーのウェイトは統一されているので、あとは自分が普段行くフィールドや自分の体格に応じて、飛距離と操作性からレングスを選択すればOKです。
長いと飛距離は出ますが、それ相応に操作性が悪くなる上に疲れます。
コルトスナイパーSSの魅力
ミドルクラスとしてのコストパフォーマンスはかなり高いと思います。
2019年8月12日現在、私が調べたところ、実売で2万円を下回るモデルも見受けられます。
この価格でスパイラルX、ハイパワーXを搭載していて、軽いんですから、ショアジギングに本格的にのめり込むには素晴らしいロッドなのではないかと思います。
デザインは、BBやオリジナルと比べると、シャープで洗練された雰囲気です。
ショアジギングという釣りのイメージ的なものからくるのかもしれませんが、このジャンルは直線的で武骨なデザインのロッドも多いと思います。
BBとオリジナルのデザインイメージは以下の通り。
↓BB
出典:http://fishing.shimano.co.jp/product/rod/4379
↓オリジナル
出典:http://fishing.shimano.co.jp/product/rod/3846
対してSSは以下の通り。
↓SS
出典:http://fishing.shimano.co.jp/product/rod/5804
グリップがセパレートで、かつ、やや絞り込まれたデザインになっていてスタイリッシュな印象を受けます。
私個人的には、このデザインは好きですね。
全体的なデザインはシャープではありますが、フォアグリップはしっかり長さも太さも確保されているので、いざ大物とのファイトでもフォアグリップを握って問題なく戦えると思います。
さいごに
コルトスナイパーSSは、ミドルクラスショアジギロッドを探す際の本命級シリーズと言えるのではないでしょうか?
今まではシマノで選ぶなら、エクスチューンを除くとBBかオリジナルか…という選択肢しかなかった為に、実売2万円前後のカテゴリではダイワのジグキャスターMXにシェアを支配されていた感があります。メジャークラフトのN-ONEもあります。
この人気の価格帯にぶつけるからには、当然それ相応のクオリティが求められる訳ですが、コルトスナイパーSSは十分渡り合えるスペックを備えているように思います。
あとはシマノブランドの魅力という底上げもありますし、結構シェアを奪っていくのではないかと予想します。
デザインが受け入れられれば、間違いなく人気になるでしょう。
実売2万円前後のショアジギロッドをお探しの方は検討MUSTなシリーズですね!