2019年の遅れてきた大物と言える19ストラディック。
何と言っても、実売2万円を下回るようなリールでありながら、マイクロモジュールギアⅡ、ロングストロークスプールが搭載されている点が驚きだったわけです。
すでに発売が開始され、市場にも出回っています。
この価格帯で、同じようにマイクロモジュールギアⅡなど搭載している18ステラと比べるとどのような印象を受けるのか?
今回、私も非常に興味を持ちましたので、実際に購入して実釣に臨みました。
その使用感、感想などをまとめてインプレしたいと思います。
インプレ(外観)
まずは私が実際に購入したリールのご紹介です。
2500Sを購入しました。
全体的な見た目の印象としてはシルバー感が強いですね。
中途半端に差し色をしても、安っぽくなるだけなのでこれでいいのではと思います。
用途としては、2500番ですからライトなシーバスロッドと組ませる、もしくはメバリングなどでフロートを遠投したい時が出番かなと考えています。
バス用にも使えますし、海の五目遊びにもピッタリですね。
さぁ、さっそく、各部を簡単にご紹介していきます。
まずはドラグノブ部分。
ドラグノブは19ヴァンキッシュと似ているデザインになっていますが、若干違います。塗装レベルも違いますね。
特に塗装していない樹脂パーツ(黒い部分ですね)にメッキをつけただけのような印象です。
続いてスプールです。
縦のブランキングと、特徴的な横方向のくびれがあります。
個人的には、15ストラディックよりも今回のスプールの方が好きですね。
ローター部分にはXプロテクトの印字が目を引きます。
ローターはコアソリッドシリーズ伝統の左右対称型です。
また、ボディにはハイブリッドボディ(ボディ片側のリールフット側がアルミ、もう片側が樹脂)ならではのビス止めが見えますね。
ボディ反対側に移ります。
ハンドルを外してみました。安心のねじ込み式です。
当たり前ですけど、ステラのように対腐食の特殊処理はされていないですね。
ハンドルは、今回から折り畳みできないタイプになりました。
個人的には、折りたためるメリットをそれほど感じていなかったので、歓迎ですね。
こちらの方が強度も高いですし、見た目もよいです。
最後に、スプールを外したところも少々載せておきます。
今回から、ラインの巻き込み防止に期待できるツバのようなものがついていますね。
ちなみに、斜め下から見るとこのように空洞があります。
少しでも軽量化ということなのか…?19ヴァンキッシュや18ステラには空洞はありません。
今回の19ストラディック用にデザインされたものと思いますが、これがコアソリッドシリーズのデザインのベースになる可能性もありますね。
今後モデルチェンジが待っているツインパワーあたり、どうなるか注目です。
なお、以下の写真を見ても分かる通り、リジッドサポートドラグではありません。
写真で示したメインシャフト付近の矢印の部分に白いパーツが見えますよね。
これはカラーと呼ばれる樹脂のパーツで、上位モデルに搭載のリジッドサポートドラグの場合はここがベアリングになっています。
カラーより滑らかでガタツキの少ないベアリングの効果によって、ドラグの滑り出しが安定します。
リジッドサポートドラグの場合はスプールにもベアリングが入っていて、メインシャフトとスプールの2点をベアリングで支持することで、安定したドラグの滑り出しを実現します。
シマノリールを選ぶ際の1つの目安として、リジッドサポートドラグの有無も挙げられるので、ご存知なかった方は頭の片隅に入れておいてください。
インプレ(実釣)
さぁ、このストラディックでシーバスを釣りに行ってきました。
時期は7月中旬、場所は京都の日本海側、丹後半島某所です。
夜、薄暗くなるころから現地入り→眠くなるまで釣り→仮眠→朝まずめ
とみっちり時間をかけて何本かシーバスを釣り、ストラディックの使用感を体感できれば…といった計画です。
当日のタックルですが、私の右腕、がまかつのレオザ89MLがまさかの穂先のソリッド折れで使えず…。
ストラディックが2500番ですから、比較的小型ルアーを扱えるロッドと組ませて、気軽なライトゲーム的感覚のシーバスゲームを楽しみたいと思いました…。
そんな時に、タイミングよく!私の父親が新品のダイワのラブラックスAGSの90Lを買ったという噂が耳に入り!コレを頼み込んで貸してもらいました(笑)
まさかのシマノダイワコンビとなりましたが、性能的には全く不足無しです(笑)
LクラスのラブラックスAGSと2500番のストラディックなら、小型ミノーにもマッチしますからね。
パッと見の見た目もなかなか様になっています。
セットして持ってみても特にリールが重いなぁとは感じません。
今回のラブラックスAGSとの組み合わせでは先重り感もなかったです。
さぁ、ではここからは当日を回顧していきながら釣行記的な感じで使用感をお伝えしたいと思います。
なお、私は普段18ステラをメインに使いつつも、19ヴァンキッシュ、13ナスキー、17セドナなど幅広い価格帯のリールも使います。
そんな私が感じることをストレートに書きますね。
まず釣り場について、近距離のシャローのブレイクの上をメガバスのX-70のジャークで通していきます。
飛距離は…4.5gの小型ミノーなので…ぶっちゃけロングストロークスプールの恩恵は体感としては感じません(笑)
こればっかりはリール以外全く同じ環境で、交互にフルキャストで投げ比べてみないと分からないですからね。
まぁ小型プラグを少し投げている程度ならそこまで大きな差は出ないでしょう。
巻き心地は、さすがマイクロモジュールギアⅡ。素直に良いなと感じました。
ナスキーやセドナとは質感が違いますね。ただし、これは初心者さんが触っても露骨に「全然違う!」と体感できるものではないと感じます。
それだけシマノの低価格帯のリールの性能・巻き心地が全体的に底上げされていることの裏付けでもありますが。
今回のストラディックに関しては、少なくとも、1年間使ってきた18ステラの巻き心地よりいいな。と思ってしまいました。
1年間ノーメンテかつ多少強引なファイトをよくするスタイルなのでギアにダメージが出てるせいですが(笑)
いくら最高峰のリールでも、やはり定期的にメンテしないと巻き心地は悪くなります。
さて、そんな感じでキャストしていると、数投で早速ドン!とヒットしましたが、メチャクチャ重い…。
底に張り付こうとするこの感じ…これは…一瞬遠くに見えたその姿はそう。
アカエイさんです(笑)
しかもデカイので、なかなか寄ってこない…。
夕方の良い時間を浪費&場荒れさせる悲劇(笑)
ストラディックは…というとドラグを出しながら頑張ってくれていますが、ラブラックスAGSがライトなだけあって少しリフティングパワーが物足りない感が…。
足元に来ては底に潜る…を繰り返して時間がもったいないので、ドラグを締めてリフトすると、フックオフしてくれました。
初っぱなから、思わぬ大物の洗礼を受けたストラディックw
ファイトしていてリールについて感じたことは、たわみなどの剛性感は問題なかったのですが、エイのダッシュに対してドラグの滑らかさがやや不安だな…と感じました。
ただし、これはもちろんステラと比べると、ということであって、いわゆるリジッドサポートドラグ非搭載のリールだな。という感覚です。
エイはそれほど機敏にダッシュするわけではないのですが、(刹那ではあるが)ワンテンポ遅れてドラグが作動する感覚がありました。
これが皮1枚とかで浅くフッキングしていると身切れでバラしたり、飲まれていると歯でラインブレイクする原因になる訳です。
まぁ、リジッドサポートドラグを搭載していないんですから、分かりきっている話なのですが、やはり…という感じ(笑)
なお、さらに厳密に言うと、18ステラや19ヴァンキッシュはドラグのバネにコイルドウェーブスプリングという部品を採用していて、ただリジッドサポートドラグを採用している機種よりもさらにドラグ性能は良い(高負荷時にも微調整可能)です。
さて、実釣の話に戻りますが、エイとのファイトで見事に場荒れしてしまい、この後は魚の反応が無くなってしまいました。
そこで移動し、明暗のある場所へ行くことにしました。
ポイントについて、じっくり水面を観察していると、何やら小型のベイトが泳いでいるのが見えます。
ハクっぽい雰囲気で、小さめの5cm前後といったところ。
ややレンジも下な雰囲気がしたので、メガバスのシャッディングXで近距離の明暗付近をサーチしていきます。
ちなみにシーバスではシャッドを使う人って結構少ないんですが、港湾部など比較的小場所ではすごく効果的なことがあります。
ミノーとは違うタイトでハイピッチな泳ぎをするシャッドがおすすめです。
シャッディングXはレンジも入りすぎず、かなりハイピッチな泳ぎで、ミノーで食ってこない魚でも反応させることができます。
話がそれましたが、美味しそうな明暗の境目で反応がなかったので、暗部のやや奥を巻いていると、ガツッ!と明確なバイト!
顔を見せたのはこの方…!
本命キマシタ!
サイズは46cmちょっとといったところですが、まずは顔を拝むことが出来て一安心です。
なかなか元気なシーバスだったのですが、やはりエイより瞬間的なダッシュ力があります。
突っ込まれてもストラディックのドラグがきちんと作動してくれて難なくキャッチできました。
ただ、障害物の多い場所でPE0.4号なので、ドラグを調節しながらなるべく早くランディングしようと思ったのですが、やはりステラに比べて微調整しにくさは感じました。
緩めるとラインが出すぎる、少し締めたつもりなのに、締まりすぎる…といった感覚でしょうか。
チリチリ…と少しずつラインが出てくれる…というよりは、溜めて急にジーーーーと出やすい感じです。
やはりドラグ性能に関してはスペック通り、ハイエンド機種に劣ることは間違いありません…が、これもそのリールへの慣れ次第という側面もあります。
誤解のないように言うならば、ステラやヴァンキッシュに比べれば当然劣るが、普通に釣りを楽しむ分には必要十分すぎるレベル。ということです。
ぶっちゃけた話、数多くの魚を釣ってきた経験がないと、このあたりのドラグ性能の違いというのは体感しにくいものです。
このシーバスを釣った後、睡魔が襲ってきたので、一休みして朝まずめを迎えることにしました。
朝まずめは中型ミノー、シンペン、VJ、鉄板バイブなどなどいろいろ試しましたが、ウンともスンとも言わず…。
いわゆる王道の攻めに反応が悪いので、思うところがあり、ちょっと場所を変えてルアーはメガバスのX-70をチョイスしてみました。
すると…
丸飲み~~~~!
この子は50cmちょいでしたが、横から突進してくるようなX-70へのかっとびバイトが見えたので面白かったですね!
X-70はバス用ミノーなんですが、ジャークで魅せるカミソリダートが秀逸です。
橋脚などのストラクチャーや流れのピンなどで、パン!パン!パン!と2~3回左右にダートさせて止める…を繰り返すと、下から左右からシーバスが飛んできます(笑)
7cmという絶妙な一口サイズもいいんでしょうね。
サイズは狙いにくいですが、なんとか1本獲りたい…というときには心強いですよ。
この後も25cm~40cmくらいのシーバスが何本かでたところでタイムアップとなりました。
ちなみに余談ですが、帰ってから捌いていると、胃の中にはこれが。
測ると6cmほどのカタクチイワシ。
なるほど、X-70の細身のシルエットもサイズ感もマッチしていたように思えますね。
実釣で感じたこと
総合的な感想から言いますと、今回釣ったようなサイズのシーバスを釣っている分には、19ストラディックは何の不安もないリールですね。
まぁ、これに関しては釣りをする前から分かってるんですけど(笑)
ちなみに、ストラディックのスペック的なところを詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
19ストラディック、劇的進化して登場!ただしハイエンドモデルとは差別化も。何が違う?
出典:http://fishing.shimano.co.jp/product/reel/5318 シマノのミドルクラススピニング人気モデルであるストラディックが、2019年7月~8月にかけてモデルチェンジ[…]
巻きの質感は先代ストラディックよりもかなり上質になったと思います。
厳密には18ステラや19ヴァンキッシュより少しレベルの劣るマイクロモジュールギアⅡが搭載されているのですが、その差は体感レベルではほぼ分からないのではないかと思います。
非常にシルキーで、滑らかなシマノらしいフィーリングです。
19ストラディックはコアソリッドシリーズなので、巻きの釣り主体のスタイルには特にマッチしそうですね。
ロングストロークスプールについては、劇的に飛距離が伸びる、というものではないので、大場所でフルキャストを繰り返すようなスタイルでもない限りその恩恵が非常に大きいというものではありません。
もちろん、ないよりはある方がいいですし、2~3m先に届いたから釣れる魚というのも絶対います。
なので、ロングストロークスプール搭載はメリットでしかないと思っています。
ドラグ性能については、この価格帯のリールらしいものでした。
魚を掛けたあとの生命線の1つがドラグであることは間違いありませんが、ここはリジッドサポートドラグ搭載リールとは結構な差がある部分かと思います。
ライトゲームであったり、大型魚と対峙する時に、その差を思い知らされることは稀にありますからね…。
良くも悪くも、普通に作動するドラグかな、といった印象です。
リジッドサポートドラグ搭載リールになるとグッと価格が上がってくるので、悩ましいところですね(笑)
なお、ロングストローク化でスプールの高さがでることによる、スプール回転の安定感の悪化は個人的には感じませんでした。
総合的に見て、この価格帯のリールとしては非常に完成度の高いものであり、初心者~中級者の方が非常に満足して釣りを楽しめるレベルにあると思います。
丁寧に愛着もってメンテしながら使ってあげれば、長く安心・信頼して使えるリールだと思いますよ。
さいごに
色んなリールを使ってきましたが、19ストラディックを実際に使ってみて…ほんとにいいリールだなぁと思います。
もちろん上には上があるわけですが、ハイエンドモデルとの価格差を考えるとこの価格帯としては破格のクオリティなのではないかと…。
そして、その上との差は間違いなく縮まっています。
一般的な釣りをする上で、ステラじゃないと釣れなかった!とかヴァンキッシュじゃないと釣れなかった!なんていうことはわりと少ないわけで、ここは自己満足の世界でもありますからね。
コスパも強く重視しながら満足するリールをさがしている方には、非常におすすめできるリールです。