出典:シマノ
シマノから2017年に発売されたツインパワーXD。
ツインパワーシリーズと言えば、質実剛健・タフなイメージですよね。
今回のキャッチコピーは以下のとおりです。
タフステージでこそ活躍するNEWツインパワー。
出典:シマノ
今回はXD(extreme durability▶️過剰なほどの耐久性)という名前のとおり、さらに耐久性を強く前面に押し出したものになっています。
しかしながらこのリール、クイックレスポンスシリーズに属しているんです。
え?ツインパワーだったらコアソリッドシリーズじゃないの?っていうのが私が最初に受けた印象です。
コアソリッドシリーズであるツインパワーより耐久性を高めているツインパワーXDがクイックレスポンスシリーズ…なんか変な感じ…と思い、ツインパワーとの比較で調べてみました。
アイキャッチ画像出典:シマノ
スペック
差がある部分を赤塗りします。
17ツインパワーXD 4000XG | 15ツインパワー 4000XG | |
ギア比 | 6.2 | 6.2 |
実用ドラグ力/最大ドラグ力(kg) | 6.0/11.0 | 6.0/11.0 |
自重(g) | 290 | 295 |
スプール寸法(径mm/ストロークmm) | 51/17 | 51/17 |
糸巻量(m) | 1号-500/2号-210 | 1号-500/2号-210 |
最大巻上長(cm/ハンドル1回転) | 99 | 99 |
ハンドル長(mm) | 57 | 55 |
ベアリング数S A-RB/ローラー | 9 | 9 |
本体価格(円) | 49,500 | 43,300 |
実売価格(円) (Amazon調べ) | 35,578 | 31,887 |
技術特性
こちらも差がある部分を赤塗りします。
17ツインパワーXD 4000XG | 15ツインパワー 4000XG | |
◎ | ● | |
● | ● | |
◎ | ● | |
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● | ー | |
ー | ● | |
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● | ー | |
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注)ツインパワーの1000PGS、C2000S、C2000HGSのローター素材にはCI4+採用
スペック・技術特性から見えること
自重
ツインパワーXDが290g、ツインパワーが295gです。
わずかではありますが、ツインパワーXDが軽量です。
ハンドル長
ツインパワーXDが57cm、ツインパワーが55cmです。
ツインパワーXDが2cm長いです。
価格
ツインパワーXDが実売価格で35,578円、ツインパワーが31,887円で、その差は3,691円です。(2018/4/27・Amazon調べ)
続いて技術特性について見ていきます。
HAGANEギア
両リールともにHAGANEギア搭載ですが、ツインパワーXDは設計を見直されています。
以前のモデルのワンサイズ大型の機種並のギア強度を誇るようです。
ショアジギング、磯やウェーディングでのシーバスゲーム、マイクロジギングといったシーンにおいて、信頼に足る耐久性を提供するのが命題。そのひとつは「ギア強度のアップ」。シマノならでは高精度加工技術により、以前のモデルのワンサイズ大型機種と並ぶ強度を確保。
出典:シマノ
HAGANEボディ
ツインパワーXDは、オールアルミボディですが、ツインパワーはハイブリッドアルミボディです。ハイブリッドアルミボディは、シマノの中位モデルに多い仕様で、ボディの片側はアルミ、片側は強化樹脂ボディとなっています。
当然、オールアルミボディが強いです。
ステラ(オールマグネシウムボディ)との強い差別化の意味もあるでしょうが、これまでのツインパワーはハイブリッドアルミボディ(だった記憶)ですので、これはツインパワーXDの大きな特徴の1つになりますね。
マグナムライトローター
ツインパワーXDがクイックレスポンスシリーズに属しているのは、やはりこれが理由だったんですね!
常識を覆す異次元の回転軽さを実現したNEW マグナムライトローター。その秘密は、これまで当たり前とされていた左右対称のローター構造を一から見直したことにあります。従来、ラインローラー側に組まれていたベールリターン機構を取り付けカム側に移植。さらにラインローラーの軽量化、ベールのチタン化、ローター肉厚の最適配置を行い、最大約14%もの回転慣性の低減に成功しました。未知の回転軽さがもたらす、感度・操作性をぜひ体感してください。
※文中の数字は16ヴァンキッシュ#2500シリーズで算出。
※写真は16ヴァンキッシュのローターです。
出典:シマノ
しかし、タフさをウリにして新発売したツインパワーXDのローターをマグナムライトローターにした理由は何なんでしょうか…?確かにマグナムライトローターの説明で以下の説明もあります。
ローターの進化は軽さだけに留まりません。ラインローラー側のローター剛性は、ドラグ性能に寄与する重要な要素ですが、NEWマグナムライトローターは、この剛性にも優れます(従来比最大30%UP)。
※写真は16ヴァンキッシュのローターです。
出典:シマノ
しかし、この剛性については、あくまでその形状がもたらす恩恵であり、材質がもたらす恩恵ではありません。
やるならば、金属で左右非対称のローターを作るべきではないでしょうか。
18ステラですら、金属の左右対称ローターです。
CI4+
マグナムライトローターですので、CI4+素材になります。ヴァンキッシュで実績のあるローターで、モチロン強度がないものではありませんが、CI4+は基本的に軽量化の為に使う素材です。まさかツインパワーXDのローターにCI4+が使われるとは…。
ツインパワーも小型リールの1000番とC2000番(1000番ボディ)にはローターにCI4+が使われていますが、2000番以上には金属ローターが採用されています。
ツインパワーXDは、キャッチコピーであれだけ耐久性をアピールしているのに、少し違和感を覚えます。
Xプロテクト
ツインパワーはコアプロテクト搭載ですが、ツインパワーXDはXプロテクト搭載で、防水性が進化しています。
14ステラから初めて搭載されたコアプロテクトは、強い防水性はなく、少なからず不満をいだくユーザーの声もあるようです。
コアプロテクトとは、水玉を形成して水を弾く撥水処理(水玉効果)を各部に配置し、回転レスポンスや軽さを維持したままボディ内部への水や異物の侵入をブロックする機構。搭載箇所は、ローターとボディ間に配されたストッパーベアリング、ボディ、ラインローラーの3カ所。非接触シールは回転が軽いうえに摩耗せず、性能は長期間キープされる。 またボディ合わせ面をフラット化し撥水処理を加え、ストッパーレバーをなくすことでウィークポイントを払拭。ボディ前面はもちろん、側面、背面からも水の浸入を防ぎ、回転の初期性能が長時間保持される。
出典:シマノ
Xプロテクトは、以下の通りコアプロテクトにラビリンス構造を追加し、撥水処理も新たに、より防水性が高まっています。
ツインパワーXDに採用されるXプロテクトでは、より軽い回転性能が求められるため、専用に新たな防水構造を開発。回転軽さを損なうことのない非接触式にこだわり、新たな撥水処理に加え、水の浸入を抑えるラビリンス構造を複合することで、非接触でありながら、高い防水性能を実現しました。その回転軽さゆえ、ラインローラーへの採用も可能となり、ボディー部に加え、ラインローラーベアリングの塩ガミ耐久性も大幅に向上しています。
出典:シマノ
その他の違い
スペック表にも技術特性表にも出てこない部分で、ドラグワッシャーの違いがあります。
ツインパワーXDはカーボンクロスワッシャーを採用しています。
ドラグの滑り出しは低負荷、高負荷を問わずなめらかで、摩擦熱によるドラグ性能の変化が非常に小さいという特性があります。また、耐久性も高い材質。
出典:シマノ
ツインパワーはフェルトワッシャーです。
推測と個人的感想
ツインパワーに比べて、耐久性という点で良くなっているのは以下の4点です。
HAGANEギア…内部ギア強度向上
HAGANEボディ…ボディ強度向上
Xプロテクト…防水性向上
カーボンクロスワッシャー…ドラグ耐久性等向上
この4つは納得ですよね。
しかし、耐久性では劣るものの軽量化できるマグナムライトローターを搭載してきたのは何故なのか?
耐久性を求めて上記4点を改良した結果、重量増が避けられなかったが、ツインパワーより重くしたくなかった…という狙いもあるのでしょうか?
個人的には、マグナムライトローターの性能は高く評価してます。ホントに軽い巻き心地で、巻き感度抜群です。
実際、16ヴァンキッシュは私のシーバスゲームでの相棒ですから。
しかしながら、ツインパワーという機種にまで搭載しだすと、コアソリッドシリーズってなんなの?となってくる気がするのです。
もはや、全てのシマノリールにマグナムライトローターを搭載してしまっていいんじゃないかと思えてきます。
だって、ツインパワーよりも耐久性すごいですよ!って言って売り出したツインパワーXDのローターはマグナムライトローターって…。
金属ローターにしなくてもCI4+ローターで強度は必要十分って思えてきますよね。
繰り返しますが、XDって
extreme durability
過剰なほどの耐久性
ですよ。
そこまで言うなら、金属ローターじゃないの!?って思うんです。
CI4+のローターでも、過剰なほどの耐久性あるんだ!ってなりません?
ここは多少重くなっても金属ローターじゃないでしょうか?
18ステラはマグナムライトローターを採用せず、金属ローターなんです…。
ステラは、もはや巻き心地の為だけに金属ローター採用しているのでしょうか??シマノさん。
さいごに
ツインパワーXD、はっきり言って相当いいリールと思います。
強度や耐久性も十分、マグナムライトローターで巻き感度もいい。
所謂いいとこどり?なリールと思います。
しかし、そうであれば、もはやコアソリッドシリーズとクイックレスポンスシリーズという2シリーズが並び立つイメージで今後も展開していくのは違和感がないでしょうか?
もはや、実釣という意味ではクイックレスポンスシリーズに軍配があがっていて、コアソリッドシリーズは巻き心地などのニッチな世界を楽しみたい少数アングラー向け、という棲み分けをした方がしっくりきます。
あくまで、これは私個人の主観ですし、シマノさんのお考えを直接聞いたわけでもないので色々誤解や思い込み、調査不足もあるかもしれませんが、ツインパワーXDにマグナムライトローターを採用したのは、少し方向性がおかしくなってるんじゃないですか?と感じます。
来年以降の中位モデルのモデルチェンジにどういった影響を与えていくか、その展開を注視したいと思います。