ダイワの19新製品の中でも、注目に値するリールの1つがバリスティックFWです。
北米市場ではすでに発売されているシリーズで、今回日本市場にもついに登場します。
淡水(FW=フレッシュウォーター)専用リールなのですが特に軽量性には目を見張るものがあり、なんとあのイグジストフィネスカスタムに匹敵する自重を実現しているリールなんです!
軽量リールと言えば17セオリーとの比較も気になるところ。
今回は19バリスティックFWをご紹介します。
(2019年2月4日追記)
フィッシングショー大阪で実機に触れてきました。
該当項目に追記しています。
ダイワスタッフさんには、特に17セオリーとの違いを取材してきましたので、気になる方は是非最後までご一読ください。
コンセプト・概要
まずはダイワホームページで発表されているキャッチコピーと紹介文に目を通して、このリールの雰囲気を掴みましょう。
衝撃の軽量感。タフな心臓部を持つ淡水専用スピニング。
小型スピニング新シリーズ、バリスティックFW。LTコンセプトで磨き込まれた衝撃の軽量性に加え、心臓部はマシンカットタフデジギアを搭載しタフに使い込める。ハイエンドモデルにも使われるZAION製エアローターをこのクラスで搭載。本体の軽量化は無論、類まれなる回転初動の軽さを手に入れた。繰り返し打ち込む渓流のミノーイング、バスフィッシングでのシェイキングなど一つ一つのアクションが、このリールでさらに研ぎ澄まされる。より繊細なフィッシングシーンに対応するこだわりの浅溝スプール搭載。
出典:ダイワ
やはり軽量な小型スピニングというからにはLTコンセプトですね。
その他のポイントをまとめると以下の通り。
・淡水専用
・マシンカットタフデジギア
・ザイオン製エアローター
・浅溝スプール
タフデジギアと、ザイオン製エアローターを搭載していることは判明しています。
ちなみに、ローターは17セオリーなどに搭載されているザイオン製ローターではなく、18イグジストに搭載されている型と同じです。
このあたりは19モデルの強みです。
あとはギア、ボディ、スプールの素材が気になりますね。
淡水専用と謳うほどですから、マグシールドの搭載有無も気になるところ。
2019年1月17日現在、まだホームページ上は公式に発表されていないので、いろいろとダイワさんに聞いてみましたよ~。
詳しい情報は次項からご紹介していきます!
ダイワテクノロジー・仕様詳細
ニューモデルの情報がホームページに掲載されたばかりの場合、詳しい仕様が分からなくなってるときもあってモヤモヤしますよね。
今回の19バリスティックFWの気になる主な仕様を独自に確認してみましたので、フィッシングショー前に事前情報を頭に入れておきましょう!
公式に発表があれば、適宜必要項目を追記します。
ボディ素材
まず気になるボディの素材ですが、ザイオン製です。
出典:ダイワ
やはり軽さ優先で、ザイオンを採用していますね。
ザイオンは樹脂の中にカーボン繊維を高密度に折り込んで、その剛性と軽さを実現させたダイワ独自の高強度カーボン素材です。
重量比強度ではマグネシウムを上回り、ダイワの一定以上のレベルのリールにしか搭載されません。
総合的強度(たわみ要素なども含めた剛性)ではマグネシウムでしょうが、軽さを優先しながら強度も高いレベルで出せるのがザイオンの強みです。
19バリスティックFWは17セオリーと同じ型になります。
ギア素材
ギアはタフデジギアということですが、その素材は…?というと、アルミのようです!
出典:ダイワ
超々ジュラルミンとまではいきませんでしたが、アルミなら安心ですね!
これも一定以上の軽さと剛性を担保する素材です!
タフデジギアも素材はリールによって異なるので、リール選択の際には要チェックです。
スプール素材
スプールは、やはり肉薄アルミ製スプールです。
従来のアルミスプールよりも更に薄くなった仕様のスプールですね!
軽さ自慢のリールですから、肉薄タイプなのは必然とも言えます。
マグシールド搭載有無
淡水専用機で、しかも軽量さを突き詰めた…ということは、そうです。
マグシールドの搭載はありません。
クラス超越の軽さを求めた、まさに特化型リールと言えます。
マグシールドレスモデルはバス釣り専用のスティーズなど一部しか存在しませんが、19バリスティックFWもその仲間入りです。
バス釣りやトラウトに代表される淡水の釣りをする分には大きな問題はないでしょうし、使用後にきちんと最低限の対応をすればライトソルトゲームにも使えます。
マグシールドはメンテなどの面から要らない…という方もいらっしゃりますし、無くても露骨に何か問題が発生するわけでもないので、自分で最低限のメンテをできる方なら問題ないでしょう。
ドラグ
ドラグは、もはやダイワ定番のATDです。
従来のダイワドラグよりも滑り出しがスムーズでラインブレイクしにくく、魚に違和感を与えにくいので無駄に暴れられることも減らせます。
少し弱めのドラグ設定にしておくことが、このドラグを最大限に活かすコツです。
その他
エアベールは、従来の継ぎ目ありのタイプです。
18イグジストや19セルテートに搭載のシームレス(継ぎ目なし)新形状エアベールではありません。
ラインナップ
4サイズのラインナップになっています。
1000番~2500番で、メインは渓流ルアーゲーム、バスフィッシングをターゲットにしたサイズ展開になっています。
全番手で1000番ボディを採用していて、スプールサイズとギア比の違いから選択することになります。
ちなみにイグジストフィネスカスタムも全番手で1000番ボディなので、同じ方向性ですね。
品名 | 巻取り長さ (cm/ハンドル 1回転) | ギア比 | 自重 (g) | 最大 ドラグ力 (kg) | 標準巻糸量 | ベアリング (ボール/ ローラー) | メーカー 希望本体 価格(円) | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ナイロン (lb-m) | PE (号-m) | |||||||
LT1000S-P | 60 | 4.8 | 160 | 5 | 2.5-100 | 0.3-200 | 7 / 1 | 34,000 |
LT2000SS-XH | 81 | 6.2 | 160 | 5 | 2.5-100 | 0.3-200 | 7 / 1 | 34,000 |
LT2500S-C | 73 | 5.2 | 165 | 5 | 6-100 | 0.6-200 | 7 / 1 | 34,000 |
LT2500S-CXH | 87 | 6.2 | 165 | 5 | 6-100 | 0.6-200 | 7 / 1 | 34,000 |
注目の自重は160g~165gと非常に軽量です。
価格は定価34,000円(税抜)で、実売はギリギリ3万円を下回って2万円台になるかどうかといったところです。
イグジストとの比較
ミドルクラスリールでありながら、高い軽量性が自慢のバリスティック。
ハイエンドモデルのイグジストと比較するとどうなるか簡単にまとめてみました。
イグジストの小型番手には、軽量さを追求したフィネスカスタム※も存在しますので、両方見てみましょう。
2500番以下でより繊細な釣りに用いられる番手にオリジナルモデルよりも軽量設計されたボディを採用したものです。ハンドルシャフトも、オリジナルモデルではステンレスを使用していますが、軽量なアルミシャフトに変更されています。その他、徹底的な軽量化のために、ラインローラーのマグシールドや、ドライブギヤ軸のマグシールドボールベアリングを省いたモデルになります。
オリジナルイグジストと比較
オリジナルイグジストは2500番以上からのラインナップになっています。
主なスペックも含めて表にまとめると以下のようになります。
全く同じ番手がないので参考程度ではありますが、オリジナルイグジストとの比較では圧倒的に軽いことが分かります。
これは、やはりボディサイズの違いが大きいと思われます。
イグジストはLT2500番ボディ、バリスティックはLT1000番ボディですから、当然ですね。
イグジストLT2500 | バリスティックLT2500S-C | |
---|---|---|
自重(g) | 180 | 165 |
最大ドラグ力(kg) | 10 | 5 |
糸巻量(ナイロン/lb/m-PE/号/m) | 6/150-0.6/290 | 6/100-0.6/200 |
ベアリング数(ボール/ローラー) | 12/1 | 7/1 |
定価(円) | 69,000 | 34,000 |
イグジストフィネスカスタムと比較
軽さを徹底的に求めたフィネスカスタムと比較するとどうなるでしょうか。
フィネスカスタムは1000番~2500番のラインナップになり、バリスティックFWとモロにかぶるラインナップです。
ボディサイズも同じく1000番ですから、コンセプト的にも比較するなら主にこちらになるのでしょうね。
まずは1000番系の比較。
イグジストFC LT1000S-P | バリスティックFW LT1000S-P | |
---|---|---|
自重(g) | 150 | 160 |
最大ドラグ力(kg) | 5 | 5 |
糸巻量(ナイロン/lb/m-PE/号/m) | 2.5/200-0.3/200 | 2.5/100-0.3/200 |
ベアリング数(ボール/ローラー) | 12/1 | 7/1 |
定価(円) | 67,000 | 34,000 |
続いて2000番系の比較。
イグジストFC LT2000系 | バリスティックFW LT2000SS-XH | |
---|---|---|
自重(g) | 155 | 160 |
最大ドラグ力(kg) | 5 | 5 |
糸巻量(ナイロン/lb/m-PE/号/m) | 2.5/200-0.4/200 | 2.5/100-0.3/200 |
ベアリング数(ボール/ローラー) | 12/1 | 7/1 |
定価(円) | 67,500 | 34,000 |
最後に2500番系の比較です。
イグジストFC LT2500系 | バリスティックFW LT2500系 | |
---|---|---|
自重(g) | 160 | 165 |
最大ドラグ力(kg) | 5 | 5 |
糸巻量(ナイロン/lb/m-PE/号/m) | 6/100-0.6/200 | 6/100-0.6/200 |
ベアリング数(ボール/ローラー) | 12/1 | 7/1 |
定価(円) | 68,000 | 34,000 |
バリスティックFW、まさにイグジストフィネスカスタムに匹敵する自重になっています。
軽いですね!
最大ドラグ力も糸巻量も同じです。
もちろん単純にベアリング数や、その他剛性面であったり、総合的なスペックはイグジストに軍配があがるわけですが、いかんせん高価な訳です。
バリスティックのこのレベルの軽さを、この価格から味わえるというのは1つの大きな価値なのではないでしょうか?
繊細な釣りをする上では、やはり軽さというのは操作性、感度の点で絶対的に重要な要素です。
このリールは軽さを優先して追い求める中で、必要最低限の剛性も備えているわけです。
イグジストのおよそ半額でこのスペックというのは非常に魅力的です!
17セオリーとの比較
続いて、ミドルクラス軽量リールの代表格である17セオリーと比較してみます。
17セオリーはザイオンボディ、ザイオンローター採用という点では19バリスティックSWと同じ方向性の軽量リールです。
価格も近いので、間違いなく比較検討の対象となるのではないでしょうか。
17セオリーで1000番ボディのリールは1003の1つしかないのですが、参考までに2500番系まで記載します。(LTリールではないので、ダイワ旧規格のリールとなります。1000番系リールは旧規格もLT規格もサイズ感は同等です。)
■17セオリー
品名 | 巻取り長さ (cm) | ギヤー比 | 自重 (g) | 最大 ドラグ力 (kg) | 標準巻糸量 | ベアリング (ボール/ローラー) | ハンドル長さ (mm) ノブ仕様 | メーカー 希望本体 価格(円) | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ナイロン (lb-m) | PE (号-m) | ||||||||
1003 | 60 | 4.8 | 155 | 2 | 2-150 3-100 | 0.3-120 0.4-100 | 7/1 | 40 I型 | 31,000 |
2004 | 64 | 4.8 | 175 | 2 | 3-140 4-100 | 0.4-120 0.6-100 | 7/1 | 40 I型 | 31,500 |
2004H | 75 | 5.6 | 175 | 2 | 3-140 4-100 | 0.4-120 0.6-100 | 7/1 | 45 I型 | 31,500 |
2506 | 72 | 4.8 | 185 | 3 | 5-140 6-100 | 0.8-130 1-100 | 7/1 | 50 I型 | 32,000 |
今回は同等規格として扱える番手である17セオリー1003と、19バリスティックFW LT1000S-Pの主なスペックを比較してみると以下の通り。
セオリー 1003 | バリスティックFW LT1000S-P | |
---|---|---|
自重(g) | 155 | 160 |
最大ドラグ力(kg) | 2 | 5 |
糸巻量(ナイロン/lb/m-PE/号/m) | 2/150-0.3/120 | 2.5/100-0.3/200 |
ベアリング数(ボール/ローラー) | 7/1 | 7/1 |
定価(円) | 31,000 | 34,000 |
なんと、実はセオリーの方が軽いという事実が判明しました。
出典:ダイワ
上のグラフではセオリーの方が重い位置にあるのですが、これはダイワ旧規格の2500番であるセオリーと、LT規格2500番(しかも1000番ボディ)の19バリスティックFWの比較ですから、当然セオリーが重くなります。
このようなグラフの表現になっている理由は、LTについてのダイワ側の考え方が大きいです。
表記上同じ2500番という規格でもLTはタフになった分、ワンサイズ小さなボディを採用することで軽量感を味わえる…というコンセプトなんだそうで、要は旧規格の2500番を使っていた人がそのままLT2500番を使ってもらうイメージとのこと。
サイズは小さく軽くなったけど、タフさは同等以上!ということですね。
言わんとしてることは分かりますが、軽量さを比較するときに、サイズの違うリールを引っ張りだしてくるのは少し違う気がするんですけどねぇ…。
ダイワさんにその点を提言してみたところ、確かにおっしゃる通り…とのコメントを頂きましたが、今後反映があるのかどうかは分かりません(笑)
さて、1000番サイズ同士で17セオリーの方が軽い件に話を戻します。
ボディ、ローターはどちらもザイオン(ローターは19バリスティックFWが新型)で、スプールが薄肉アルミというところまで同じ。でも19バリスティックFWはマグシールドレスにまでしているのに17セオリーの方が軽いとは…?なぜ…?一体何が違うのか…?
詳しく独自に確認してみたところ、どうやら以下の違いがあることが分かりました。
ローターナット…17セオリーはアルミであるが19バリスティックFWは真鍮
ピニオン部…19バリスティックFWの方が長い
これは、一定以上のタフさ・強度を持たせたいという方向性を考慮した結果、この仕様になったとのことです。
これは個人的推測ですが、17セオリーの1003はマグシールドも搭載で、最大ドラグ力(2kg)を見てもいわゆるライトソルトゲームやエリアトラウトをターゲットにしたような雰囲気がありますが、19バリスティックFWはバスフィッシング、ネイティブトラウトまでを主なターゲットにしたリールですから、同じ1000番でも強度やパワーを意識したのではないでしょうか?
確かに17セオリーの1003の方が軽いという事実はありますが、19バリスティックFWは強度やパワーを持たせる狙いのもと設計されていると言えます。
ライトソルトゲームをするなら17セオリー、バスやトラウトのフィネスなアプローチなら19バリスティックFWという選択の仕方もいいかもしれません。
もちろん、19バリスティックFWをライトソルトに使っても問題ないです。
(2019年2月4日追記)
フィッシングショーで実機に触れながら、ダイワスタッフさんに確認してみましたよ。
フィッシングショー前に確認できていた違い(ローターナット、ピニオン部)の他にも、自重に大きな影響を与えているものを確認できました。
以下、17セオリーと19バリスティックFWの写真を並べますので見比べてみてください。
出典:ダイワ
出典:ダイワ
上がセオリー、下が19バリスティックFWですね。
気づく方はすぐに分かると思いますが、リールフット部分の肉抜き有無が大きな違いです。
↓全く肉抜きがないタイプのボディになっています
17セオリーはリールフットのボディ側に空洞を設けてますが、19バリスティックFWにはないのがお分かりいただけますでしょうか?
軽さを求めた19バリスティックFWなのになぜか?
それはやはり、主な対象魚種から、剛性面と軽量面のバランスを考慮した総合的判断によるものだそうです。
淡水専用で、バスやネイティブトラウトあたりがメインターゲットであるこのリールには、一定以上の剛性を持たせることが設計思想として根底にあります。
ちなみに、セオリーの他に18カルディアも空洞ありのボディ形状になっています。
個人的には単純思考をすると、19バリスティックFWにはどうせなら徹底的に軽いリールを目指してほしかった…という思いも湧いてきます。
ですが、ローターナットやピニオンギアのくだりも、あえて強度を意識した設計になっていますよね。
単純に軽くするだけなら、このような選択をしないことは簡単だったはずです。
ダイワの設計サイドとして、19バリスティックFWに求める強度と軽さのバランス像があって、そこを妥協せずにこだわって造ったからこその結果なのだと思います。
新型ザイオンローター採用やマグシールドレスなどといった選択は、強度を担保しながらも軽量化ができますよね。
そこで得られたメリットを生かしつつ、地味であまり見えないようなところでは強度にもこだわって、軽さと強度の絶妙のバランスを備えさせているのだと感じました。
逆に単純に軽さに走らなかった点は、好感が持てます。
ちなみに、巻きはめちゃくちゃ軽くて感度良さそうでしたよ~!
さいごに
19バリスティックFWの軽さ、非常に魅力的ですね!
チューンするのにも面白そうです。
繊細な釣りを好む本格派アングラーには、なかなか興味深い一品なのではないでしょうか?
まさに異端の特化型リールと言える19バリスティックFW。
クラス超越の軽さを体感できるリールです!
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