シマノから2019年秋、新たなバリュープライスリールが2機種登場します。
その名も
「シエナ」と「FX」です。
です。
シマノのバリュープライスと言うのは、俗にいうオープンプライス的なイメージ。要するにかなりお財布に優しい価格の商品です。
シマノブランドの安心感もあるので、まさに初心者・入門者の強い味方ですね。
しかし、なぜバリュープライスという超低価格帯に2機種出るのか?この2機種は何が違うのか?シマノの意図は?
非常に安いリールなので、別に細かいことはいいやん…なんて声も聞こえてきそうですが、そこは個人的に気になる性分なので(笑)
よ~く調べて全体像をつかみましたので、是非参考にしてみてください。
アイキャッチ画像出典:http://fishing.shimano.co.jp/product/reel/5871
概要
まずはシエナとFXについて、シマノ公式ホームページの紹介文をよーく読んでみました。
ぶっちゃけた話、どちらも同じようなことが書いてありました。
キーとなりそうなポイントをピックアップして、私なりの解読をするに以下の雰囲気でした。
ギア
→信頼のシマノクオリティで巻き心地良好
AR-Cスプール搭載
→ライントラブル防止
安くてもシマノブランド
→安心品質。アフターサービス万全
なるほど、この訴求点を見ていると、まさに同じバリュープライスのシマノ最安値スピニングリール、アリビオと同じ雰囲気ですね。
アリビオの後継的ポジションなのか…?
それにしても、紹介文には同じようなことが書いてあるので、この両リールは見た目以外何が違うのか伝わってきません。
次項では、スペックの違いとデザインの違いを検証していきます。
この両リールはどこが違うのか?
スペック
まずは重要であろうスペックを、シマノ公式ホームページのスペック表で見ていきました。
結論、違うのはただ一つ。
ベアリング数
です。
FXはベアリング数が2個
シエナはベアリング数が3個
それ以外はラインナップからスペックまで全て同じ。
技術特性もAR-Cスプールと海水OKで全く同じですから、FXよりはシエナが上ということですね。
ちなみに、他のバリュープライスリールのベアリング数は以下の通りです。
アリビオ…1個
セドナ…3個
ネクサーブ…3個
アリビオよりは、FXもシエナもベアリング数が多いということになりますね。
デザイン
実はパッと見で、両リールの関係性が見えてきます。
以下の画像は、上がFX、下がシエナです。
↓FX
出典:http://fishing.shimano.co.jp/product/reel/5872
↓シエナ
出典:http://fishing.shimano.co.jp/product/reel/5871
如何でしょう?
シエナの方がカラーリングも細かく造り込みされていて光沢もあり、垢抜けた印象を受けますね。
ベアリングの数にも表れていますが、やはりシエナの方がグレードが上と分かります。
しかし、ここで疑問が。
それは、同じバリュープライスリールとしてすでにアリビオ、ネクサーブ、セドナと存在する中で、どこで差別化されてるの?どういう序列なの?
というもの。
ホームページのスペック表を見ているだけでは分からないことも絶対あるので、例の如くシマノに直接取材してみましたよ。
次項でその内容をご紹介していきたいと思います。
シマノに取材して分かったこと
シマノに聞いたことを書く前に、基礎知識としてご参考までに…。
今までのバリュープライスリールは以下の3機種でした。
アリビオ
セドナ
ネクサーブ
アリビオ、ネクサーブ、セドナについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
シマノ アリビオは破格プライスの爆売れリール!各番手のおすすめ使用例をご紹介!安くてもさすがのシマノ品質!
18ネクサーブ考察!セドナ・アリビオとの違いは?徹底比較!追加モデルも登場!
シマノ 17セドナはHAGANEギア搭載の最安リール!4千円台で超々ジュラルミンのドライブギア搭載の凄さ!
で、それぞれのグレード感(価格)と特色を簡単に表すと以下のイメージです。
【グレード感(価格)】
アリビオ<ネクサーブ≒セドナ
【特色】
アリビオ
→シマノ最安値スピニングリール。その一言に尽きる。海水OK、AR-Cスプール搭載。ベアリング1個。
ネクサーブ
→3機種内で最もデザイン重視。メッキパーツや塗装でスタイリッシュな印象。その分技術特性はアリビオと同じで、海水OK、AR-Cスプールの搭載。ベアリングは3個。
セドナ
→3機種内で最もリールとしての性能は高い。その分デザイン面簡素化でコスト圧縮。海水OK、AR-Cスプール、HAGANEギア、Gフリーボディ搭載。ベアリング3個。
と、まぁこんな感じです。
ここに今回のシエナとFXが新発売となったわけです。
まず個人的に思ったのは、シエナとFXは技術特性は海水OK、AR-Cスプールのみ。で、ベアリングはシエナが3個、FXが2個。
すなわち、この両リールは表面的スペックの雰囲気的には
アリビオよりはベアリング数が多い
ネクサーブに非常に近い
という感じなんですよね。
ちなみにネクサーブは2018年に登場したばかりです。
いやいや、このタイミングでネクサーブとほぼ同じようなものを出すなんて意味のないことはしないだろ…と思いながらシマノに取材してみました。
(2019年9月20日追記:初回にシマノに聞いた時と2回目に聞いた時とで回答内容が変わったので、該当箇所を訂正、加筆しています。)
結論、端的に言うと以下の内容になります。
ポジション的にはシエナがアリビオの後継
シエナはネクサーブよりは格下
シエナがアリビオの後継ということで、アリビオは廃盤となるようです。
一見、FXがアリビオの後継?と考えてしまいがちですが、ベアリングの数以外も含めた総合的評価としては、シエナがアリビオの後継というのがシマノの見解です。
当然、ベアリングの数だけがリールの価値を決める訳ではありませんし、アリビオ発売当時からすればかなりの年月が経っていますから、今のシマノの技術でもってアリビオ相当の価格のリールを作るとなると、相対的にレベルアップしたリールが完成することは想像に難くありません。
FXはそのシエナに比べて、ベアリング数や塗装面なども含めてさらにコストを抑えたことで、アリビオよりもさらに下のランクに位置づけされるようです。
釣り入門者に対して、よりお手頃価格でシマノのリールを選んでもらいたいという狙いがあるようです。
と、このような背景で登場するとは言え、FXですらギアは新たに設計したことでアリビオよりは良いものが搭載されている模様です。
ベアリングも含めて、確かなパワーアップですね。
ではシエナがネクサーブより格下なのは…?となったのですが、まず、デザイン的にネクサーブの方がコストがかかっているということが挙げられるようです。あとは、ハンドルのガタツキもネクサーブの方が少ない仕様になっています。ギアはややネクサーブが質が高いが、シエナも最新設計というだけあって、差はあまりない、というようなことを聞きました。単純にラインナップもネクサーブはかなり幅広く、大きな番手やシャロースプールモデルなどもありますが、シエナは(FXも)絞られています。
こういった点の積み重ねで、ネクサーブの方がシエナに比べて、やや序列としては上にくるイメージのようです。
すなわち…今後はグレード感(価格)の序列は以下のようになると予想できます。
FX<シエナ<ネクサーブ≒セドナ
気になる価格感ですが、バリュープライス故にハッキリとしたことは教えてもらえませんでしたが、FXはアリビオの価格を下回るのではないかと聞きました。
そして、シエナがアリビオと同じくらいの価格に落ち着くのではないかと。(あくまで予測であり確定情報ではありません)
なお、バリュープライスのリールなので、発売当初は店舗によって価格にバラつきが出るかもしれません。
ラインナップと番手ごとのおすすめ参考釣種
FXとシエナのラインナップをご紹介します。
初期ラインナップは1000番から4000番までになっていて、ホームページ記載のスペック表上、ベアリング数以外はFXもシエナも同じです。
ちなみに、ベアリング数(BB/ローラー)はFXが2/1、シエナが3/1です。
先ほどの項で述べましたが、シャロースプール仕様はありませんし、ギア比もノーマルのみです。
初めからナイロンライン付きで、入門者が気軽に釣りを始めるにあたり、非常に嬉しい仕様になっています。
品番 | ギア比 |
| 自重 (g) | スプール寸法 (径mm/ストロークmm) |
| 最大巻上長 (cm/ハンドル1回転) | ハンドル長 (mm) | 本体価格(円) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 5.0 |
| 205 | 39/12 |
| 61 | 45 | バリュープライス |
| 5.0 |
| 250 | 45/14.5 |
| 71 | 55 | バリュープライス |
| 5.0 |
| 250 | 45/14.5 |
| 71 | 55 | バリュープライス |
| 5.0 |
| 250 | 45/14.5 |
| 71 | 55 | バリュープライス |
| 5.2 |
| 320 | 50/17 |
| 82 | 55 | バリュープライス |
※ベアリング数(BB/ローラー)はFXが2/1、シエナが3/1
1000番
1000番は、軽めのロッドと組み合わせる、ライトゲームや小物釣りにピッタリです。
コンパクトな分、自重が軽いので疲れもたまりにくいです。
ただ、細糸を扱うことが重要なライトゲームにおいては、本格的に狙いたいならナイロンライン2号は太いし感度が悪すぎます。
せっかく気軽に釣りに行けても釣れなければ次に行きたくなくなるかもしれません。
ルアーのライトゲームをするなら、PE、エステル、フロロの細糸に巻き替えることをおススメします。
■おすすめ
アジング、メバリング、ハゼクラ、エリアトラウト、ボートキス、足元のサビキなど
2000番
2000番も小型の部類ですが、1000番と比べると糸巻量や最大ドラグ力、ハンドル長が変わり、1000番よりはややサイズの大きな魚も狙えるリールになります。
こちらも1000番同様ルアーのライトゲームをするなら、ライン巻き替えがオススメです。
エリアトラウトはナイロンラインが主流ですが、標準で巻いてある2号(8lb)はやや太いです。
バス釣りで気軽に遊ぶ分には、問題ないかと個人的には思います。
■おすすめ
アジング、メバリング、ハゼクラ、エリアトラウト、バス釣り、ボートキス、足元のサビキなど
2500番
2500番は汎用性の高い番手です。
バス、シーバス、イカ(エギング)など、やや大きめのターゲットにも対応しますが、アジングやメバリングなどライトゲームでもフロートやメタルジグなどの遠投スタイルでは活躍の場があります。
またオフショア(船釣りなど)でも、真鯛を狙うテンヤなどで使われることのある番手ですね。
■おすすめ
バス、エギング、サビキ、シーバス、ライトソルト全般、テンヤ真鯛、トラウト、足元のサビキなど
C3000番
C3000番も2500番同様、活躍の場が広い番手です。
Cはコンパクトボディ(COMPACT BODY)の頭文字をとったCで、ボディは2500番だけど、スプール(糸を巻く部分)は3000番スプールを搭載していますよ…というものです。
したがって、2500番との違いは、基本的には糸巻量になります。
やや飛距離のでる釣りをするとき、水深のある場所でオフショアゲームを楽しみたいときなんかはC3000番を選ぶのが良いでしょう。
PEラインを多めに巻きたい、ソルト(海釣り)で使われることが多いかと思います。
■おすすめ
イカ(エギング)、シーバス、ショアソルト全般、テンヤ真鯛、トラウト、足元のサビキなど
4000番
FXとシエナの最大番手が4000番です。
それなりの大型魚を相手にする釣り、重い仕掛けを投げたいエサ釣りに向いています。
サーフでのフラットフィッシュ狙いや、ライトショアジギングでの青物狙い、磯でのヒラスズキ狙いなど、ダイナミックな釣りに使われることが多い番手です。
ルアー以外でも、遠投カゴ釣りやぶっこみ釣り、泳がせ釣りなどのエサ釣りにもピッタリですね。
■おすすめ
サーフ、ライトジギング、ライトショアジギング、シーバス、ショアソルト全般、サビキ系全般、ぶっこみ釣り、泳がせ釣りなど
FXとシエナの魅力
一言で言うならば、さらに磨きがかかったシマノクオリティのリールをかなりのお手頃価格で手に入れられる…これに尽きるのではないでしょうか。
アリビオは2011年から長らくシマノの最安値リールとして君臨し続けていましたが、デザインはもちろん、内部のギアなどもその当時のものです。
当時から8年が過ぎ、今のシマノの技術で新たに設計しなおしたギアを搭載し、ベアリング数も増えて登場。デザインもアリビオに比べるとかなりスタイリッシュになりました。
特にFXは実売3,000円を切る予想ですから、アリビオよりスペックは進化していながら価格は抑えられているということになります。
入門者が手軽に釣りを楽しむ上で、素晴らしく魅力的なリールなのではないかと思います。
どの程度のクオリティなのか…私も実際に購入して実釣で感じてみたいと思います。
さいごに
今回はFXとシエナについて詳しく調べてみましたが如何でしたか?
この価格帯に細かく2機種デビューさせるあたり、シマノの意図を感じますね。
入門者、初心者さんに魅力あるリールを充実させたい、選択肢を増やしたい、ということでしょう。
釣りを新たに始める上で、ネックの1つがコストであることは間違いありません。
資金に余裕があれば、なるべく良い道具を最初から揃えればいいのですが、そういう人は少ないのが現実でしょう。
まずはお手頃価格な道具で釣りの楽しさを知る。物足りなさを感じたときに必要なものを足していく。これこそ王道です。
安かろう悪かろうでは意味がないですが、シマノクオリティなら大きな安心感があります。
FXとシエナで釣りデビュー。いいと思います!