2018年にシマノから新発売となったリールの1つがネクサーブです。
定価はバリュープライスとなっています。
しかし、すでにバリュープライスのリールはセドナとアリビオがある中で、あえてネクサーブを投入してきたシマノの意図・狙いは何なのか…?
今回はそこを考察していきたいと思います。
アイキャッチ画像出典:シマノ
スペック表
汎用性の高い2500番で考察していきます。
18 ネクサーブ 2500 | |
定価(円) | バリュープライス |
実売価格(円)(Amazon 調べ) | 4,299 |
ギア比 | 5.0 |
実用ドラグ力/最大ドラグ力(kg) | -/4.0 |
自重(g) | 255 |
スプール寸法(径mm/ストロークmm) | 45/14.5 |
糸巻量(糸-号-m) | ナイロン-2-170 PE-1-320 |
最大巻上長(cm) | 71 |
ハンドル長(mm) | 55 |
ベアリング/ローラー | 3/1 |
技術特性 | AR-Cスプール 海水OK |
注)価格は2018年4月現在
特徴
スペック表から特筆すべき点を挙げていきます。
価格
2018年4月現在、Amazon で調べると税込4,299円の商品があります。
バリュープライスだけあって、かなりお安い価格ですね。
ちなみにシマノから販売されているスピニングリールで最安値モデルと言えば、ネクサーブと同じくバリュープライス機種であるアリビオです。
アリビオは3,000円台前半で販売されていて、1,000円ちょっと上乗せすればネクサーブが買える、という価格的位置付けになります。
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また、もう1つのバリュープライス機種であるセドナは、実売でネクサーブとほぼ同等で販売されています。
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自重
255gです。
シマノの実売1万円以下のリールは5機種(ナスキー、サハラ、ネクサーブ、セドナ、アリビオ)あるのですが、その中ではアリビオの260gが1番重く、次位がネクサーブになります。
ちなみに、この中で最軽量はセドナの245gです。
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ベアリング
3個です。
これは同価格帯のセドナと同じです。
1つ上のグレードであるサハラは4個で、詳しくはピニオンギア下部のベアリングが1個少なくなっています。
このピニオンギアのベアリングの有無で巻き心地がどこまで変わるかというと、個人的には正直「おッ!」と感じるような変化はありません。
改造なしで巻き心地うんぬんを語るなら、実売で15,000円以上するようなモデルからではないでしょうか。シマノならストラディック(ベアリング6個)あたりからでしょうか。
ちなみに下のグレードであるアリビオはピニオンギア上部の1個だけしかベアリングがありません。ネクサーブはアリビオよりもハンドル軸に2個多いので、これはさすがに巻き心地が変わってきます。
総評として、ネクサーブの巻き心地は4千円クラスのものとしては素晴らしい、というのが正直な感想です。
技術特性
特筆すべき機能はありません。強いて言えば海水OKであることと、AR-Cスプールですが、アリビオも含めてシマノの淡水専用モデルのスピニングリール以外には全機種に搭載されている為、あえてピックアップする程のことではないと考えます。
同価格帯のセドナにはHAGANEギアとGフリースプールが搭載されていることを考えると、少し寂しいですね。
機能ではないですが、ネクサーブとアリビオは、初めからナイロンラインが巻いて販売されているものもあります。ラインの太さとか考えるのが億劫だ…というようなほんとの初心者向けのサービスだと思います。
難しいことは考えず、これを買ったらリールとラインについては何も心配せずにそのまますぐ釣りにいける、というのも1つの価値なのでしょうね。
なお、セドナにはナイロンラインではなく、PEライン1号付きで販売されているものがあります。
留意点
ワンピースベールではありません。
ワンピースベールは、ベールとラインローラー部が一体生成になっているシマノ独自の美しいベールで、切れ目がありません。
ネクサーブも含めたシマノの実売1万円以下のリールは全てワンピースベールではなく、パーツを組み合わせて接続されています。(基本的にはBBシリーズから上のモデルはワンピースベールになります。アオリスタBBはワンピースベールではないなど例外があります。)
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細いPEラインを使用している場合、ベールとラインローラー部の接続部に噛み込んでラインが切れる事があるようです。
キャスト後にベールを返すときに、気をつければリスクは下がるでしょうが、この点は頭の片隅に入れておいた方がよいかと思います。
ちなみに、私は同じベールを使用しているセドナでPE1号を使用していますが、切れたことはありません。
あくまで、そういう事例が起こる可能性がある、という認識でいいと思います。
なお、2号くらいのナイロンラインを使用する分には問題はないと思います。
スペックから読みとれること
単純にセドナ、アリビオと比べると中途半端感は否めません。
同価格帯であるセドナと比べると、スペックでは劣っていると言えます。
下の価格帯であるアリビオと比べると、わずかに軽いこととベアリングが増えることくらいしか推せる点がありません。
セドナとアリビオのほんの僅かな間を埋めるために、ネクサーブをだしたのか?そんなことはないはず…と疑問に思い、改めてシマノホームページとにらめっこしてみました。
ホームページを見て気づいたこと
公表されているスペック的なところはもう分析し終えたので、他になにかヒントはないか改めて一からネクサーブのページを見てみました。
初心にかえって、シマノがこのリールの方向性をどこに向けているのか、という点に注目してみると、推測にはなりますが答えが見えてきました。
以下の文章はシマノホームページからの抜粋です。
■キャッチフレーズ
クラスを超えた高級感。使える軽快スマートモデル。
出典:シマノ
■紹介文
ライントラブルを抑制するAR-Cスプールを搭載し、淡水、海水などフィールドを問わず使える汎用性を追求。このクラスでは例のない高輝度の塗装をはじめ、高級感を演出するメッキパーツをふんだんに使用。さらにスプールには飾り穴加工を施すことでスタイリッシュな印象を高めた軽快スマートモデル。
出典:シマノ
どう思われました??
2つの文章に共通するキーワードは、
『クラス』
『高級感』
『軽快スマートモデル』
なんです。
そして、その前後の文脈を読みとくと見えてきます。
要するにこのリールは、
バリュープライスリールというクラスの中でも、見た目の高級感にこだわり、スタイリッシュなデザインである事
を最大のウリにしているんですね!
そして、
AR-Cスプールでトラブル少なく、淡水でも海水でも軽快に遊べる
というコンセプトな訳です。
光輝度塗装、メッキパーツ、スプールの飾り穴といったところにコストをかけた分、セドナ程のスペック面でのクオリティは出せないけど、見た目はカッコいいでしょ?AR-Cスプール搭載だからライントラブルも少ないよ!
といったところでしょうか。
なるほど、確かにセドナやアリビオと比べるとデザインはいいと思います。光輝度ボディやドラグノブに、この価格帯らしからぬ雰囲気があります。光輝度ボディとメッキの効果で色合いも明るく見えますよね。
出典:シマノ
こればかりは好みもあるでしょうけどね。
これでこのバリュープライスという価格帯にシマノがあえてネクサーブを出してきた意図が分かりました。
ラインナップ
全12モデルがラインナップされていましたが、6000と8000が追加され14モデルとなりました。(2018年9月現在)
かなり幅広いジャンルに対応しています。
初めから糸付きで販売されているものもあれば、実は糸は無いモデルもあります。
以下に全モデルを記載します。糸無ししかないモデルは()で分かるようにしてあります。
ざっくりした釣りのジャンルで分けてますので、ご参考にしてください。
ちなみに、同じバリュープライスのセドナと比べ、微妙にラインナップに違いがあります。
セドナには500、4000XG、C5000XGがあるのに対し、ネクサーブは500は設定なし、4000HG、C5000HGとなっています。
より専門的なモデルがセドナにあるようですね。
■ライトゲーム・バス・トラウトなど繊細さも求められる釣り
1000
C2000S(箱付糸無しのみ)
C2000SHG(箱付糸無しのみ)
■万能。シーバス、エギング、サビキ、ちょい投げ etc…
2500
2500HG(箱付糸無しのみ)
2500S
C3000(箱付糸無しのみ)
C3000HG
C3000DH(箱付糸無しのみ)
■ショアジギ、オフショアジギング、泳がせなど大型魚狙い
4000(箱付糸無しのみ)
4000HG
C5000HG
【2018年9月追加モデル】6000
【2018年9月追加モデル】8000
さいごに
単純なスペック表の比較だけでは見えてこない価値を持った(狙った)リールということが分かりました。
【価格】
セドナ≒ネクサーブ>アリビオ
【単純にリールを道具として見た時のスペック】
セドナ>ネクサーブ>アリビオ
【高級感・スタイリッシュさ】
ネクサーブ>セドナ>アリビオ
というイメージになります。
ここを把握した上で、シマノバリュープライス御三家の中から自分にベストの1台を見つけてくださいね。