出典:シマノ
私はシマノリールのファンで、基本的にはリールはシマノ製品を愛用しています。
その理由は、シマノのモノづくりの姿勢が好きだからです。
ちなみに、みなさんはシマノの現在のリール設計思想をご存じでしょうか?
シマノのリールは「永遠に変わらない巻きごこち」をめざしています。
実は、この設計思想のことをHAGANEと呼んでいるのです。
シマノのリールに、HAGANEギアやHAGANEボディという言葉が使われているのは、ここからきている訳です。
実際に鋼を使っているわけではありません(笑)
HAGANEとはいったいどんな思想なのか?どんな技術が使われているのか?気になりませんか?
今回はシマノのHAGANE思想について掘り下げてみたいと思います。
アイキャッチ画像出典:シマノ
シマノの歴史
まずはシマノという企業の簡単な歴史からご紹介します。
シマノは、大阪府堺市に本社を構えています。
堺は、古墳時代の遥か5世紀にまで遡る、金属加工技術の歴史を誇ります。
刀、包丁、鉄砲などへと受け継がれたその技術は、やがて自転車部品製造へも発展を遂げていき、1921年、島野鐵工所が創業されます。
当時、わずか1台の工作機械で、自転車の後輪用1枚ギアの製造からスタートしています。
その後、自転車パーツメーカーとして着実に成長していき、シマノは世界最大の自転車パーツメーカーとなりました。日本国内においては2018年現在、自転車業界唯一の東証一部上場企業です。
堺の金属加工技術の歴史・伝統を先進の技術で受け継いでいる、日本を代表する企業と言えますね。
現在も堺に本社があるところは非常に好感が持てます。
そんなシマノが、釣り業界に参入したのは1970年。そのギア加工技術を活かすべくリールの製造をスタートしたのです。
以降、1973年には、世界初の非円形ベイトリールであるSpeed Spool BB-1を発売するなど、常に新しいものへの探求を続けてきたシマノ。
そんなシマノが2015年に発表したのがHAGANEコンセプトです。
HAGANEとは?
それは、
真に使い込めるリールを
つくる設計思想。「永遠に変わらない巻きごこち」をめざしたシマノのリール設計思想。それが、「HAGANE」である。
精密冷間鍛造をはじめ、独自の金属加工技術を極限まで研ぎ澄ませ、シマノにしかつくれないリールを突き詰める。
「HAGANE」思想に裏打ちされた感動的ななめらかさと圧倒的な強さを備え、長きにわたって多くのアングラーに愛されつづけるシマノのリール。
使い込むほどに真価を発揮する製品は、シマノの変わらぬ決意と約束そのものである。
出典:シマノ
金属の持つ可能性、金属にしかできないこと。
「HAGANE」—それは、シマノのリールづくりに受け継がれてきた哲学そのものであり、テクノロジーの根幹を成すものである。
出典:シマノ
このHAGANE思想を体現するために、さまざまなシマノ独自のテクノロジーが開発される訳ですね。
続いて、HAGANE思想を体現するためのテクノロジーについて見ていきましょう。
HAGANEテクノロジー
「HAGANE」思想に基づくリールづくりを支えるのは、シマノが長年培ってきた独自の金属加工テクノロジー。歯の先端から根もとまで圧倒的な強度と耐久性に鍛え上げる、精密冷間鍛造「HAGANEギア」。精緻化した歯を噛み合わせて、滑るような巻きごこちを実現する「マイクロモジュールギア」。動力を効率よく伝えるギア設計で、強大なパワーと繊細なフィーリングを両立する「X-SHIP」。そして巻き上げ時のねじれやたわみを抑え、リール内部を不意の衝撃から守る高剛性「HAGANEボディ」。これらの代表的な金属加工テクノロジーを組み合わせることにより、シマノならではの巻きごこちが生まれる。リールを使い込むほどにわかる、それが「HAGANE」の真価だ。
出典:シマノ
シマノは4つのテクノロジーがHAGANE思想を支えていると考えていますね。
■HAGANEギア
■マイクロモジュールギア(マイクロモジュールギアⅡ)
■X-SHIP
■HAGANEボディ
これらはどのようなテクノロジーなのでしょうか?
詳しく見ていきましょう。
HAGANEギア
シマノ金属加工技術の象徴。
精密冷間鍛造「HAGANEギア」。熱間の鍛造とは異なり、常温のまま金属に圧力を加えることで、
すぐれた精度と強度を実現する、シマノの精密冷間鍛造技術。
「HAGANEギア」は、金属の塊を約200トンもの力で圧縮することで完成する。
切削加工をせず、プレスにより一気にミクロン単位の精緻さで高精度のギアをつくる技術は、世界に類を見ない。
その品質はまさに「鍛え上げられた金属」と呼ぶにふさわしい。出典:シマノ
金属の塊を、
精密なギアに鍛え上げる。
出典:シマノ
金属のかたまりを、常温のままプレスして、あの細かいギアをつくっているんです。
すごい技術…!削りもしない、熱も加えないで、金属を変形させるなんて想像できません…!
そのメリットについては以下のとおりです。
高密度
200トンもの圧力で、金属が高密度化。
精密冷間鍛造
鋳造(亜鉛ダイキャスト)
精密冷間鍛造でつくられた「HAGANEギア」の断面を鋳造(ダイキャスト)ギアと比較すると、その違いは明らかだ。素材を溶かし、金型に流し込んでつくる鋳造と異なり、冷間鍛造は結晶の密度が高く、空隙がない。こうして、より粘り強いギアができあがる。
出典:シマノ
高硬度
メタルフローが寸断されず、ギアが高強度化。
精密冷間鍛造
一般的な切削加工
メタルフローとは金属組織の流れのこと。ギアの歯面に一切の切削加工(マシンカット)をしない精密冷間鍛造では、そのメタルフローは寸断されることがない。形状に沿って流れるように金属組織を保たれたギアは、衝撃に強く、きわめて破損を起こしにくい。
出典:シマノ
高滑性
なめらかな歯面で、回転が高耐久化。
精密冷間鍛造
一般的な切削加工
切削加工でつくられたギアは、わずかながら表面にキズや突起が残り、局部疲労の原因となる。対する「HAGANEギア」の歯面には凹凸がほぼ見当たらない。度重なる釣行でリーリングを繰り返しても、ノイズが発生しにくく、なめらかな巻きごこちが保たれる。
出典:シマノ
HAGANEギアは、密度、硬度、滑性の点で、非常に優れていることが分かりますね。
マイクロモジュールギア(マイクロモジュールギアⅡ)
なめらかで繊細な巻きごこち。
「マイクロモジュールギア」。ギアの歯を限界まで精緻にすることで、シルキーな噛み合わせと動力伝達を実現する「マイクロモジュールギア」。
強度を低下させることなくノイズを低減し、感度を格段に向上。
繊細なアタリも鋭敏に感じ取ることができる。そして、これらギアの高精度な噛み合わせを守るのが、金属ならではの高い剛性を持つHAGANEボディ。
精密なギアと頑強なボディの両者があってはじめて、いつまでも続くなめらかな巻きごこちが実現できる。
出典:シマノ
一部の上位機種にしか採用されていないマイクロモジュールギアですが、強度を落とすことなく、ノイズ軽減と感度向上に一役かっているということですね。
また、HAGANEボディがあってこそのマイクロモジュールギアということが分かります。
X-SHIP
リーリングは軽く。されど力強く。
精密ギアシステム「X-SHIP」。ドライブギアの大径化、ピニオンとドライブ両ギアの最適配置、ピニオンギアのベアリングによる2点サポート。
これらすべてを駆使してギアの噛み合わせを頑強にすることで、負荷が大きくても軽快なリーリングを保持するシマノ独自の機構「X-SHIP」。ビッグフィッシュ相手のゲームでもパワーを効率よく伝達し、力強い巻き上げを可能にする。
出典:シマノ
ギアのサイズ、配置、支持をシマノ独自のセッティングで設定し、ギアの噛み合わせが頑強になったことで、高負荷でもスムーズな巻き上げができるのがX-SHIPです。
こちらはシマノのほとんどのスピニングリールに搭載されていて、現行機種で搭載されていないのはセドナ、ネクサーブ、アリビオ、アオリスタBBだけです。
HAGANEボディ
負荷・衝撃からギアや回転性能を守る。
金属の高剛性「HAGANEボディ」。アルミニウムやマグネシウムなど剛性の高い金属を用いた「HAGANEボディ」。
極限の軽量化を図りながらも、リールのたわみや歪み、ねじれを抑制。パワーロスの少ないスムーズなリーリングを実現する。
また高い剛性がHAGANEギア、マイクロモジュールギアの噛み合わせを衝撃から守り、巻きごこちを持続。機能を磨きあげた金属ボディには、毅然とした美しさが宿る。出典:シマノ
金属ボディを用いた高剛性ボディがあってこそ、HAGANEギアやマイクロモジュールギアが最大限に活きるという関係性が成り立ちます。
ジギングなどをすると、リールにかかる瞬間的な負荷は相当大きなもので、樹脂ボディではたわみが生じてしまいます。
こういったたわみはギアの痛みや噛み合わせ不良に繋がります。
また、HAGANEボディと一言で言っても、その機種毎に使用している素材も違いますし、樹脂と金属を両方使っているモデルもありますので、その中身をよく吟味してリールを比較したいですね。
さいごに
今回、HAGANE思想にフォーカスしてみましたが、如何でしたか?
シマノという企業がめざすモノづくりの考え方を少しはお伝えできたでしょうか?
思想のあるリールは、美しい。
研ぎ澄まされた機能だけが放つ、美しさ。
道具という存在を超えた色気が、凛と静かに漂う。
永遠の巻きごこちをめざす
設計思想、「HAGANE」。
その具現化は、どこまでも美しく結実する。
機能に宿る美を、その手で感じてほしい。
出典:シマノ
高いジャパンクオリティをもつ、シマノという企業を誇りに思います。
その技術力はもちろん、思想が素晴らしいです。
シマノにしか、つくれないものがあると思います。
シマノだから、できることがあると思います。
わたしは、これからもシマノの進化を追いかけ続けたいと思います。